韓国人は政治の話がお好き

政治の話なのに韓流ドラマみたいに熱中する韓国の人々

 

 

 

こんにちは。ソウルでマシルのハッシーです。
東京もソウルもすでに桜が散って、初夏の陽気に近づきつつありますね。

 

 

ソウルと釜山は4/7に市長選挙がありました。
今日は韓国に興味ある人なら押さえておきたい、韓国の政治に関するお話を最低限、最小限にして(私でもお話できる範囲で 笑)シェアしたいと思います。政治や経済のことを少し分かっていると、韓流ドラマ映画だけでなく、一見すると意味不明に見えるラエティーのテロップを理解するのにも役立ったりしちゃうんです。

 

 

今回は簡単に、韓国の政治の現況についてシェアしてみたいと思います。
これは、NHKなどで放送するようなレベルの解説ではないので、すでにご存じの方にはもの足りないかもしれませんが、韓流に関心がある人なら少しは抑えておいたほうがいい内容ですので、お付き合いくださいね。

 

 

それではスタート。

 

 




 

 

Contents

韓国は大統領制で、日本の内閣制と違う

 

 

 

韓国の政治体制はご存じのとおり、アメリカなどと同じ大統領制です。韓国の대통령(大統領)が持つ決定権は、日本の내각총리(内閣総理大臣)のそれとは段違いの強さをもっています。国会議員は選挙で選ばれますが、大統領を補佐する장관(長官)、日本で言えば大臣は국회의원(国会議員)でなくても、大統領が指名することができます。

 

 

 

国会議員や大統領などの定期の国政選挙であれば、韓国の場合は水曜日が投票日となり、公休日になるのですが、今回の場合は両方とも補欠選挙。
一連のMee Too騒動の渦中で辞職(死亡による辞職も含む)した前市長の任期を後続して担う補欠選挙なので、どちらも公休日にはなりませんでした。しかし、これまでになく投票への関心は高い投票となり、結果は現在の与党が輩出した候補でなく、野党が輩出した候補が当選するという異例の結果となりました。

 

 

 

ちょっと硬い資料ですが、最近まとめられた資料は総務省大臣官房から出た資料を読んでみると全体的なことが把握できるかと思います。

 

 

自国の政府に対する不信感が根強い韓国人

 

 

韓国は日本と違って政治に対する関心が非常に高く、ふだんの茶飲み話(?)でも政治談義に花が咲くほどです。
しかし、ここ10年ほどは長く政権を担ってきた保守系政党と、新たな改革を進めるべきだというリベラル・進歩系の政党が真っ向から対立しています。これは、日本の植民地支配から解放された後の韓国の近現代史と関係が深く、既成の体制が変わることが嫌な保守派(보수)の人たちと、どんどん進歩して新たに変わるべきという進歩系(진보)の人たちでほぼ互角の状態になっています。

 

 

また、その要因には地域対立感情や、既得権層への対立感情、古い儒教敵な伝統を固守して若い世代に強要する古い考えへの対立感情、男女平等などに対する対立感情、公正な競争ではない社会構造への対立感情などなど、単純に地縁や学閥などでは割り切れない要素が混ざり合っています。それらすべては「政府のやり方がよくなかったからだ」という考え方につながっていて、次の選挙で政権が変わると、本当に地方自治体の1プロジェクトにまで影響が出るため、人々の関心が高くなるのです。

 

 

現在の韓国は保守と進歩政党が真っ二つに分かれて勢力争いをしている

 

 

上でも書いたように、現在の韓国で政権を握っているのは、더불어민주당(さらに民主党)といリベラル・進歩系の政党です。
その大元は簡単に言えば金大中氏が大統領になった時、初めて政権を握った政党で、その構成は1980年代に民主化を叫んで激しい学生運動をした世代が中核となっています。ですから、その人たちと近い世代、さらにそれらを多感な時期に育った世代、つまり現在の40~50代が主な支持層です。

 

 

その反対側にいる保守派は、現在は野党になっていますが、長い間に渡って韓国の政権を担ってきた政党が元祖ですので、その既得権を崩そうとしている現在の政権は本能的に嫌いなわけです。既得権を持っているわけですから、当然、地域的には慶尚道の人が多く、世代も50代後半より上の人々が大半です。住宅問題が深刻になってきた昨年前半くらいまでは、20~30代の人々も、この保守派を嫌っていましたので、単純に“腐敗”などという表現は使いたくありませんが、相対的に得をしてきた人たちのグループだ、というイメージがあるようです。

 

 

日本育ちの人からは考えられないことに映るでしょうが、同じ韓国人同士でも、政治的な立場が違えば、本当にそれは激しく言い合いますし、時には人格を否定するような表現も使って攻撃するのが韓国の政治闘争です。ですから、それを考えると、日本に対して不買運動とか、いろいろな争点で激しい発言をしたり、感情的な表現を使うことは、本人たちは何とも思っていません。この辺の考え方の違いは日本人としても理解しておく必要があると思います。

 

 

 

日本の感覚で韓国の政治を受け止めては温度差が大きい

 

 

そんな背景があるので、日本で“政治なんて興味ないし話なんかしない”と思っている人からすると、韓国で生活したら政治の話の熱さにビックリするでしょう。同じ家族の中で、両親と息子夫婦が政治の意見対立で真剣にケンカするなどということが、割とよくあるんですから。

 

 

それに、ニュースだけでなくふだんの会話の中でも政治談義から出た言葉が、ふだんの冗談などに使われるようなこともかなりあるのです。
例えば「내로남불」。もとは泥沼ドラマから出た“내가 하면 로만스, 남이 하면 불륜”ですが、政治の世界でも自分の応援する党がやることは“何か理由があったはずだ、悪いと言い切れない”と応援し、反対の党がやることは“あいつらは何かたくんでいる、悪いことをしてるに違いない”というふうに受け取る傾向があることを批判した表現として使われ始めています。

 

日韓関係についてはこちらもどうぞ

 

 

それでも私たちと最も近い認識を持ってる人が多い

 

 

いろいろ書きましたが、私がここ5年間ソウルに住んでみて、なんだかんだ言っても大勢の人は“日本とは認識を共通にしている”というふうに考えていると思います。それは、どういうことかというと、中国には体制の違いから来る、そこはかとない距離感を感じている人が多く、日本は同じ感覚で理解できる“コードが近い”と韓国人も理解しているのを感じるからです。

 

 

ただ、近いだけに、韓国と違って経済的にもまだ強い日本が小憎らしいというところでしょうか。
ポイントは、自己主張が強い人の発言が必ずしも正しいとは限らないということです。日本人としては賛成でも反対でも、自分の意見をきちんと持つために、政治や歴史はある程度の勉強が必要だと思います。

 

 

 

知っておくと便利な政治分野の韓国語

 

では、最後に政治分野の韓国語を少しだけシェアしたいと思います。韓国の政治用語も、漢字語が多いですが、発想や考え方が日本のそれとは違うので、意味に差がある場合があります。それを理解するようにするといいでしょう。

 

 

1)국민청원(国民請願)
大統領府である青瓦台が運営する、韓国に住む人なら誰でも書き込める“目安箱”みたいなものです。
もちろんインターネットで一般公開されているので、どんな請願が書き込まれているのかを誰でも見ることができ、さらに賛成だと思えば“賛成”を押せます。

 

 

イタズラを防ぐために、誰かが請願を書き込んだらチェックする人の手を経て、100人の事前同意を受けたあと一般公開されることになっています。そこで20万以上の賛成票が入ると、大統領がどう対応するか公式見解を発表することになっています。2017年から始まったこの制度では、“えっ?”と思うようなことから、“こんなことがあったのか!”と国民が激憤するようなことまで、いろいろとアップされます。

 

 

2)민정수석 (民政首席)
大統領の秘書官の中で民政分野を担当する首席秘書官のことです。首席秘書官はいくつかの分野にわたって数人いますが、最近は不動産関連のスキャンダルで何人も入れ代わっています。

 

 

3) 太極旗部隊(태극기부대)
スタートは、朴槿恵前大統領の弾劾による罷免以降、今の文在寅大統領になってから、朴前大統領を擁護する人たちが週末になると、法曹街の瑞草洞に始まって官庁街の光化門前広場で、韓国旗の太極旗を掲げてデモをしたことに始まります。非常にシンプルに言えば、保守系の中でも最もタカ派。年齢層は60代後半から上の方々が多いです。

 

 

その人々は昔の高度経済成長期を実際に経験してきた人たちなので、今の進歩系政権は“左派”だと考えています。ですから、この人々もそれは真剣にデモをしました。家族の中で40代の息子は今の政権を支持し、70代のお父さんお母さんは前政権を支持するというような現象が珍しくなくなってしまったのです。

 

 

う~ん、もっと興味を持ってもらえるように書こうと思ったのに、イマイチの雰囲気になってきたので、今回はここまでにします。

 

 

韓国人は、政治の話も十分に酒の肴(?)にするし、それが相手の思想や政治的な立場と差があっても失礼とか失礼じゃないとかいう考え方をしない、ということをご理解いただければ当初の目的を少し達成できたかもと思います。

 

ではまた!

 

 



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